宅地選び

・宅地選びのポイント1 ・宅地選びのポイント2 ・宅地選びのポイント3 ・宅地選びのポイント4 ・宅地選びのポイント5 ・宅地選びのポイント6
宅地選びのポイント1

宅地選びの相談をたびたび受けますが

注意するポイントについてお知らせします。

 

宅地を選ぶ場合のポイントは様々です。

優先順位はどうか・・・通勤通学、価格、駅からの距離などについては、

設計事務所が口を挟むことは少ないのですが、

家を建てる場合に、予期せぬ費用がかかる場合があるので注意が必要です。

 

地盤補強が必要であったり、インフラのコストがかかってしまう、

仮設工事費用が通常よりもかかる場合など、様々です。

 

しかしこれらの事は一般の方には予想が難しいことであり

不動産業者にもわからない場合があります。

(わかっていても教えてくれないかもしれませんが)

 

コラムでは、プラスアルファのコストが必要なのかどうか、

あらかじめ検討しておくポイントをお知らせする予定です。

 

先ずは不動産巡りから

 

一般的に宅地を選ぶとき次の点を心得てください。

・掘り出し物は無い

・最初から良い物件に巡り会うのは希である

 

値段と条件に恵まれた宅地はなかなか無いものです。あったとしてもすぐに売れてしまうか

事業用(建て売り住宅等)に廻されてしまうかでしょう。また一見の客はなかなか良い情報が

もらえないものです。不動産業者の立場から考えても、冷やかしかもしれない客には、

とっておきの情報は出さないです。

 

以上のことを踏まえて、宅地選びのポイントは

・数多くの物件を見て目を肥やしておく

・希望エリアの不動産業者を何軒か廻る

・本気の度合いをアピールしておく

・店頭やインターネット情報は目安と考える

・物件情報は第三者にも相談してみる

 

希望するエリアの不動産店舗で多くの情報を見てゆくうちに、物の善し悪しや相場がだんだんわかるようになります。また予算や希望について情報交換してゆくと、違った視点からも考えることが出来るようになります。

 

またこちらがどれだけ本気であるのかをアピールすることで、公開していない情報まで出てくる可能性が生まれます。

 

不動産業者は土地売買の際仲介手数料を受け取りますが、この手数料にも二通りあります。土地を売る側と買う側です。一般的に不動産業界でオープンになった物件は、売買の窓口になる業者が違う場合仲介手数料の全てを受け取ることが出来ません。そのため良い物件はなるべく自分のところで扱い、手数料を両方受け取るようにします。言い換えれば店頭に出ていたりインターネットに掲載されているオープンな物件は、ある一定期間買い手が決まっていないということで、価格と内容が釣り合わないか何等かの事情があると考えられます。

(もちろんすべてではありません。良い物件に巡り会う可能性もあります)

 

そのため、本気であることをアピールすることも重要となってくるのです。

 

いくつか情報が集まったら、同じようなことを経験した人や建築の専門家に相談するのがベターでしょう。その場合なるべくタイムリーに回答してもらうのが肝心です。

 

他にも検討している方がいるので・・・等の言い回しで不動産業者は時間を制限する営業方法を取りますが、慌てることなく、しかし迅速に検討することが大切です。そのために専門家の意見が重要となります。

 

(宅地選びについて)次のコラムでは、設計者としてどこに判断の基準を置いているかをお伝えする予定です。

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宅地選びのポイント2

今回は傾斜地を造成した宅地についてお知らせします。

少々専門的な内容ですが、目を通していただければと思います。

 

傾斜がある土地を造成して、平らな宅地を造る場合には

擁壁と呼ばれる土留めをつくるのですが、地山と呼ばれる固い地盤が

擁壁のどの部分にくるかで対策が違ってきます。

 

大まかな断面を以下に表現しました。 

 

この中で、Aに建てる場合とBに建てる場合で違いがあります。

どちらも擁壁を造ったあと土を埋め戻しますが

擁壁と地山の位置により少々事情が違います。

 

A の場合

点線で表した地山に対して土を盛った造成となります(盛り土)。

擁壁が地山の上に盛り土をして造成されている場合

擁壁下の締め固めが不十分だと、埋め戻した土や家の重量で

擁壁が動いてしまい家が傾く可能性があります。

 

いわゆる不同沈下と呼ばれるものですが

これは液状化により起こる現象と同じです。

 

対策としては、杭を地山まで打ち込み建物を支えることですが、

万一擁壁が沈下したとしても家の水平を保つことができます。

 

Bの場合

擁壁の下が地山の場合には地盤がしっかりしているので、

擁壁が沈下する可能性は少なく

Aのような対策は概ね必要ないと思われます。

 

但しこの場合も、擁壁上に埋め戻す方法が不十分であれば

埋め戻したところが下がって不同沈下を引き起こす可能性があるので

改良材を混ぜて埋め戻す等、対策が必要となります。

 

これらの造成地を購入する前に、埋め戻したあとの地盤調査データ

があれば確認したいものです。

 

宅地は一見するとどれも同じように造成されている様に

見えますが、違いがあるのです。

 

可能であれば、建築士に現場に立ち会ってもらい

あらかじめ造成図面が入手して相談するのが良いでしょう。

 

外見だけで決めてしまうと

思わぬ出費を余儀なくされるケースがあるのです。

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宅地選びのポイント3

今回は古家付の土地を検討する場合です。

一般的に古家が建っている土地に引いている給水管は
径13mmが多く、建て替える場合はそのまま使えません。

そのため径20〜25mmの給水管を引き直す事になりますが
道路を掘って水道本管から取り出す費用がかかります。
この工事を見たことがあるでしょう。

工事は役所で単価が決められていて、価格競争はありません。
そのため数十万円もかかる場合があるのです。

但し旧い鉛や鉄の管をステンレス管に交換するよう役所が推奨し
費用を負担してもらえる場合もあるので、調べておくと良いでしょう。

もう一つの検討事項は
古家の解体工事です。

売り主側と買い手側どちらで解体工事をするかについては
可能であれば、売り主側の方で行ってもらうのが得策です。

一般的な木造住宅で、3.5〜4万円/坪を目安に解体費用を計上
しておけば良いのですが、旧い浄化槽やその他の埋設物があると
予定よりも多くの費用がかかります。

さらに解体工事のリスク(隣家などへの)も考えておかなければなりません。
可能であれば、値引いてもらうかわりに
解体を売り主側で行ってもらう事を交渉してみるのも一案です。

 

宅地選びのポイント4

今回は旧い造成地を検討する場合です

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横浜や川崎市の宅地は傾斜地が多いので、検討する場合があると思います。

新しい造成地の場合は「宅地選びのコツ_2」でお知らせしましたが

旧い造成地の場合はどうでしょうか。

 

ポイントは、造成地又は擁壁の検査済証の有無です。

検査済証とは、開発や擁壁工事が終了し図面通り出来ている事を

検査で確認したという公的な証明書です。

 

この証明書が有るかどうかで対策が変わってきますので

宅地を検討する場合、検査済証の有無について確認することが重要です。

 

但し敷地内の擁壁は確認出来ても、境界線を越えた隣地にある場合は

仲介業者に調べてもらうか、自ら役所に問い合わせて確認してください。

 

検査済証は以下のような物です。

 

検査済証が有る場合、新しい造成地同様に考えれば良いのですが

無い場合は、役所では擁壁がガケ同様の扱いとなります。

 

つまり法律上は不安定な物、崩れる可能性が高い物として扱われるので

家を建てる場合に対策が必要となります。

そして追加費用が必要となるわけです。

 

この擁壁の上に建てる場合と、下に建てる場合について

簡単に図解しました。

 

 

上に建てる場合、擁壁に建物の重量がかからないよう

斜線を引いた範囲外まで基礎を下げるか杭を打つ必要があります。

 

下に建てる場合、擁壁が崩れても建物が安全であるように

崩れた擁壁や土砂を受け止められる高さまで基礎を立ち上がるか

コンクリート造の壁を立ち上げる必要があります。

擁壁が高い場合、かなりの高さまで立ち上げる必要があり

開けられる窓の制限もあるのです。

 

いずれの場合も、斜線を45度で引いていますが

土質や擁壁の高さで変わりますので、建築士に相談してください。

 

最後に、検査済証がある場合でも、擁壁が風化や劣化している場合は

無い場合と同様の対策を取るべきであることも付け加えておきます。

 

 

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宅地選びのポイント5

今回は、角地はやっぱりいいな、というお話です。

 

住宅設計をある程度経験した建築士なら誰でもわかる事ですが

一般の方には少々ややこしいかもしれません。

ああ、こういうプランがあるのか、

と宅地選びの際に参考にしていただければと思います。

 

宅地で人気のあるのは「東南角地」と言われています。

日当り最高、というフレーズにあるように

東側と南側が道路のため、一般的には日当たりも良く

開放的だからですね。

 

実は他にもメリットがあるのです。

これは東南角地に限らず、道路が二面あると

建物面積が増やせるということです。

 

角地の場合、建ぺい率が10%プラスになります。

つまり1階床面積が10%多く取れるとイメージしてください。

但し容積率のボーナスがないので、全体の面積が増える訳ではありません。

 

 

ここで有効な取り方が、1階のボーナス面積を

屋内車庫や自転車置き場に割り当てる方法です。

 

屋内車庫や自転車置き場は、それも含めた建物全体の面積にたいして

20%まで容積率対象外とりますので、建ぺい率10%ボーナスを

その分に割り当てられるのです。

 

 

この事例では敷地面積を100㎡ 建ぺい率/容積率=50/100%としていますので

10㎡までの屋内車庫や自転車置き場をとることが可能です。

 

 

建ぺい率緩和については、角地の他にも道路に挟まれた敷地など

パターンがあります。

 

但し角地であっても、道路に接する長さが十分でない場合や

道路の交わる角度が120度以上の場合など緩和が認められない落とし穴が

ありますので役所の窓口や建築士に事前相談することをお勧めします。

 

実際のところ角地の物件は少なかったり、割高であったりしますが

運良く巡り会えた場合、建ぺい率緩和のことも是非検討してください。

 

宅地選びのポイント6

今回は(勾配のきつい)坂道に面した宅地の場合。

傾斜地の多い横浜や川崎では
坂道に面した宅地を検討する場合があります。

気を付けてもらいたいのは、道路の交通量です。
幹線道路沿いでなくとも、抜け道など朝夕車が多く通る道路は要注意。
特に坂道では(当然ですが)車はエンジン回転数を上げて登ります。

交通量が少ないと問題ありませんが
多いところでは、エンジン音と排気ガスを考慮しておく必要があります。
バイクの場合は特にひどいですね。

交通量の多い道路に面したバルコニーや窓は、
他に較べて汚れが目立つのも事実です。

このような宅地の場合、間取りを考慮したり
設計に二重サッシを加えるなど、騒音対策が必要です。

※ 今回は自分の経験を元にしたお話でした。